型について
身空で練習する技について、指導内容の一部を記載致します
表面的な形の真似ではなく、技の理を解析し、 身体の使い方自体を変えていきます
(1)型について
型とは古典芸能の歌舞伎や能の伝承において途方もない年月をかけて師の動きを真似し自分のものにする事と同じように
型の中に集約された身体操作の技術を数年をかけ体に馴染ませ動きの質とその意味を練磨していきます。
空手が普及の目的の為、競技化し試合形式が主流となった現代において型とはスピードや力強さ等、見栄えがあるものが良いと捉えている傾向があります。
しかし、日本本土に広まる前は、空手は型の練習が全てであり、その中に技術を習得するカリキュラムが集約されていました。つまり、技の境地は型の練習の中から生み出されていく事となります。
(2)緩急について
型の動きの中で早い遅いの緩急の差は、美しく動きを見せる要素が大きいですが、本来は別の意味があります。
遅い動きの中では、手先に力を入れたままでは、勢いでごまかせず力みによりブレが発生します。この動きにおける技の場合、手先に力を入れてはいけない事となり2つの理由があります。
①体幹側の力を使う、または体幹を締める練習である事
②勢いを相手にぶつけずに、自分の動きを相手に反応させない技である事
つまり、緩急の中にさえ、具体的な意味と身につけるべき技術が含まれています。
(3)身体と脳について
型を繰り返し練習し、修練を行うにおいて脳の作用と深い関わりがあります。
型を身体に覚え込まそうとする段階では、脳は身体に命令を下し、脳が支配者となって考えながら行動を行います。型を覚え、 自然と身体が動いてくる段階では、身体が何を感じ、どのような動きを欲しているか脳が観察者となり調整を行います。
このような段階を経て、身体への自己観察力を深める事により、ようやく型の中に含まれる身体動作の極意へと辿る事ができます。
(4)型の種類について
型は各流派毎に数十のものが残されていますが
首里手においてはナイファンチに始まりナイファンチに終わる、那覇手においてはサンチンに始まりサンチンに終わると言われるように、流派を代表される一つの型の中に生涯をかけ学ぶべき内容が含まれています。
この2つの型により「膝の抜き/受動筋による動き/体幹の締め/丹田呼吸/脱力」という武術の核となる技術を身につける事ができます。
身空では、ナイファンチ、サンチンを中心に、約5つの型に絞り込み、
ただ動きを覚える型ではなく、 その型の中に含まれる動きの作用を理解しながら身体の使い方を学びます。